2016年10月24日月曜日

August's Season Qualifier優勝デッキ解説

9月中旬に行われたAugust's Season Qualifierで優勝し、来年開かれる世界選手権への切符を世界一早く獲得したyukarinさん(https://twitter.com/Yukkuri_Duelyst)に記事を書いてもらいました。

yukarinさんの前回の記事はこちら








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  ふたたび、Duelystのブログ様に記事を投稿する機会をいただきました、Yukarinです。
先日行われた、Duelyst World Championship August's Season Qualifierで優勝することが出来ましたので、その際のデッキについて解説させていただきたいと思います。
世界選手権Duelyst World Championshipについては、こちらのページをご覧ください(makeinuさんによって日本語訳されています)。





○使用デッキと大会形式

August's Season Qualifierの大会形式はAestari(Last hero standing)によるBo5でBANは無いため、こちらの3デッキを使用しました。
lynorのSLOが1マナと表示されていますが0マナです。





追記・・・記事を書いている最中に、パッチ1.74になり大幅に環境が変わってしまいました。まだまだ試行錯誤中ですが、現在試しているデッキ3つと初心者の方向けの安めのデッキ2つも紹介しておきます。よろしければお試しください。

現在試しているデッキ



安く作れるFaie・Argeon






○開催時(9月中旬)の上位デッキ・環境考察

当時の環境で見られたデッキを、私個人の感覚でランク付けしたものが以下の表になります。


 まず間違いなく、環境を支配していたのはKaraでした。MawEphemeral ShroudSunset Paradonといったミニオンは、強力な能力ゆえにstatsが低くデザインされています(特にhealthが2というのが重要です。ジェネラルで殴ると除去できるためです)。
それらをBBSで強化し、アドバンテージを取っていくというデッキコンセプトは非常に強力です。不利な場を返していく力だけでなく、強化したSaberspine tigerでのリーサルや、低コストデッキ故の序盤の安定感とSpelljammerとの親和性など、多くの長所を有しています。

 また、shimzarで大幅に強化されたVetもラダーでは多くのプレーヤーが使用していました。9/7付けでのManaranksでも多くのトッププレイヤーが上位に挙げ、総合2位,3位にランク付けされています。
Pax, Nimbusを始めとする強力なミニオンは、ひとたび動き出せばとんでもない勢いで優位な場を構築していくことができます。
ただし、しっかりと弱点も設けられています。Falcius以外はOpening Gambitを有しておらず、次のターンまで対処されない場合に猛威を振るい出すカードばかりなのです。
そのため、相手に優位をとられた場合の巻き返す能力に欠けます。並べることはできますが、NimbusもRepulsor Beastで飛ばされたり、Heilstone Prisonで戻されて畳みかけられたりといったケースでは無力なのです。
リリース当初は猛威を振るったかと思いますが、対処がわかってくると強力すぎるということはなく、むしろKaraやAggroRevaのほうが良いデッキだろうと思えるようになっていました(少数派の考えかもしれません。後手Pax×2→Inner Oasisとかされると途方に暮れるのは事実です)。

 また、Combohaiもvet同様にShimzarリリース当初は高い評価を受けており、採用デッキ候補として挙がりましたが、最終的にはそこまで強くはないといった評価に落ち着きました。使ってみると、あまり安定しないのです。
コンボを安定して決めるために、ドローサポートをとことん盛り込んだバージョンを、Songhaiの第一人者でありトーナメント上位常連であるNowayitsj(https://twitter.com/nowayitsjj)が調整していたのですが、彼も結局はトーナメントでのCombohaiの使用をやめ、AggroRevaに戻っていきました。
正直Combohaiに関しては、私自身そこまでやり込む時間がなかったため、評価を決めかねていたのですが、Nowayitsj, UnoPro(https://twitter.com/UnoProYT), WickedFlux(https://twitter.com/WickedFlux)といったSonghaiのエキスパート達がAggroRevaに戻るのを見て候補からは外しました。

 Cassyvaは、Creepの変更によって多少弱体化しましたが、依然として強力で、軽いカードをRites of Undervaultによって補充するタイプのデッキは十分トーナメントレベルであると思えました。
また、デッキパワーが多少下がったとしても、上位デッキであるkaraとAggroRevaに対して有効なカードを複数有しています(KaraにはSpectral Blade Grasp of Agony、 AggroRevaにはVoid PulseKelaino)。

 TempoArgeonは、0マナの強力バトルペットSloの追加によって、かなり強化されたと感じました。Shimzar以前まではHoly Immolationは大体6マナから警戒していればよかったのですが、今や4マナから警戒しなければなりません。
早いターンにおけるHoly Immolationが、特にKaraに対して有効な点も大きな長所です。ほとんどのプレイヤーが使うと想定されるKaraに対して対抗策を有していることは、非常に大きな価値であると考えていました。
また、Sloでマナスプリングを踏んで加速することで、先攻2ターン目にZenruiKronを出すといったプレイも可能となりました。それに加え、当時はほとんど注目されておらず、相手に出方を予想されにくいという大きなアドバンテージを有していました。

 AggroRevaに関しては、強力なデッキではあるものの、デッキパワーが劣るはずのCassyvaやArgeonにも相性の問題でどっこいどっこいと言った勝率に落ち着いているように見えました。
かなり高いデッキパワーを有しつつも、トーナメントやラダーでの優位性という観点から少し評価が下がっていました。
ただし、ブン回れば何にでも勝てるという点は、特にトーナメントにおいては大きな魅力です。想定外の、対処のよくわからないデッキに当たったとしても、とにかくジェネラルを殴ればなんとか出来るためです。

 これらの要因を考慮してランク付けしたものが、先に示した各デッキのトーナメントにおける優位性の表になります。この上位から使用デッキを選択することになります。
Argeonが2位というのは意外に思えるかもしれませんが、ノーマークである点を個人的に非常に高く評価していました。





○デッキ分布の予想

先に述べたデッキ評価から、デッキの分布を考えてみると、以下の様な感じになると予想されました。
・Karaが最も使用率が高い。このせいでFaieはほとんどいないはず。
・ラダーでの遭遇率、周囲の評価から考えて、2番目に多いのはVet。おそらくZirixが多いが、Sajjも十分あり得る。
・3番手としてはRevaとCassが同じ位いるのでは。
・Vaath、Argeonは少数派。

 これらの予想から、何とでも戦えるKara・Argeonをまず選択し、残りの1枠にVetは少し苦手ですがKara, Revaの相手をしやすいCassを選択しました。RevaかCassかで迷いましたが、圧倒的に使い慣れているCassを選ぶことにしました。
また、3つのデッキのうち1つはアグロデッキを使用するつもりだったのですが、Argeonがその役割も果たしてくれた点も大きいでしょう。当然といえば当然ですが、3つともKaraといい勝負ができるデッキを選択したことになります。
 実際のPlayoff出場者のジェネラルリストは以下の通りです。大体予想通りでしたが、Vaath、ArgeonよりもRevaが少ないのは予想外でした。

 後は、これら3つのデッキを、Kara, Vet, Reva, Cassを意識して調整するだけです。各デッキで意識した点は以下の通りです。
Kara・・・ミラー用にparagonを2枚採用。VetとReva用にZen-ruiを2枚採用。KronとVetを意識してChromatic Coldを2枚採用。
Argeon・・・1~2Dropが十分だったので、Dispel枠にはLightbenderを採用(Humansには『軽いShroudのほうが良くない?』と言われました。当時はどちらが良いか判断が付きませんでしたが、Shroudがナーフされるとは・・・)。
Afterblazeは当時あまり認知されておらず、相手の予想外の動きとなることも多かったので3枚採用。Sloによるマナ加速からの5マナが面白かったので、VetとRevaを意識してZen-ruiを2枚採用。
このあたりの枠を確保するために、思い切ってRegaliaを抜いてしまいました。この辺りは今も迷っていて、Regaliaが抜けたり入ったりしています。
Cass・・・あまりいじれる所が思いつかなかったのですが、ラダーで活躍していたAzaleaを2枚採用。1枚Kelaino、1枚Obliterateでもよかったかも。
Kara相手にはいい勝負ができるデッキを選択していたので、Vet,Revaにも勝てるように調整したといった所でしょうか。




○Plyaoffの結果

2日目のPlyaoffの結果は以下の通りになります(初日のSwiss Roundsについては割愛させていただきます )。
・Chiyochandesuguu(Kolosthedragon)  3-1
 ×Cass-Cass ○Argeon-Cass ○Argeon-Sajj ○Argeon-Kara
・Briguy77  3-0
 ○Argeon-Zirix ○Argeon-Reva ○Argeon-Kara
・Humans  3-2
 ×Argeon-Kara ○Cass-Kara ×Cass-Argeon ○Kara-Argeon ○Kara-Vaath

 Argeonは6-1という成績で、KolosとBriguy相手には全部Argeonで勝っていることになります。想定されてないデッキを使うこと、他の人がやってない事をやるという事の有効性が出たと考えています。
同じくArgeonを使ったHumansには通用しなかったのも頷ける所です。後、Karaはやはり強かったですね。

                    準決勝Briguy77戦(00:03~26:48 )


決勝Humans戦







○練習方法について


 makeinuさんから、練習方法についてリクエストがあったので少しだけ。この時は仕事が結構忙しく、8時に家を出て、9時頃帰宅する日々が続いていました。
夜は疲れているのでプレイするのは控えて、フレンドのリプレイをひたすら見てました。例えばKaraに関してはScientistやMeziljieのリプレイを相当見たと思います。
日付が変わる前くらいには寝て、早めに起きて練習してから出勤するといった生活でした。Playoffは月曜の朝だったので、終了した30分後には家を出ていました(笑)
なかなかハードなスケジュールですが、ゲームに限らず何かをやろうとすると、ある程度の時間はどうしても必要になってくるので、なんとかして時間をつくるしかないといった感じです。






○最後に

デッキ解説というよりは環境解説といった感じになってしまいましたが、いかがだったでしょうか。とはいえ、デッキ構築というのは、環境を見極めてそれに対する回答を考えるというアプローチが大きいですから、そうなるのも当然なのかもしれません。
当時の環境に対する回答としては、Argeonの有用性に気づいた点と、Karaをきっちり練習するという点になると思います。少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。





○告知

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